大阪宣言
| Posted by admin — 2009/12/15 14:31 |
12月12,13日の両日、大阪市立大学にて、「医療的ケア実践セミナー」が、全国から400名を越える参加者が集い開催されました。
そこで、採択されました「宣言文」を是非お読みください!
医療的ケア実践セミナー2009in Osaka
[大阪宣言]
2009年12月12日
医療的ケアを取り巻く課題を整理したときのキーワードは、医療と福祉の融合ということになろう。そこで、歴史的に医療と福祉の融合を図ってきた重症心身障害児施設制度を原点において、
- それよりも利用者への関係性が高いものの、医療専門性については低い領域を①【地域福祉領域】
- それよりも医療専門性は高いものの、関係性が低い領域を②【一般医療領域】
- さらに新しく拡充してきている医療の専門性をもちながら、関係性のより近い領域を③【在宅医療領域】とし、
- その3領域と④【重症心身障害児施設】自体の合計4項目につき課題の整理を行うと以下のようになる。
①【地域福祉領域】
- パーソナルアシスタント制度(介護による個別支援)を確立し、医療的ケア支援を必要な人そのものにさまざまな施策利用を集める必要がある。
- 生活に密着した訪問介護領域では、①在宅医療領域の訪問看護との連携を強め、②重度訪問介護制度で長時間のケアを模索し、③タイムケアなどの機能をもった小規模多機能化をめざすことが有効な手段となる。
- 通所施設では、①看護職の積極的配置を行い、②通所場面での医療的ケア支援を確立し、③在宅で日中活動(療育)的視点をもった訪問介護などの多機能化をめざすことが有効な手段となる。
- ショートステイ機能をもつ入所型福祉施設では、①看護職の積極的配置を行い、②ある程度の医療的ケアを必要とする人の受け入れを検討すべきである。
②【一般医療領域】
- 地域の中核病院は、①医療的ケア支援の必要な人のための、冠婚葬祭や家族の入院などの緊急一時利用を制度化できるシステムづくりを行い(レスパイト入院/医療型所ショートステイ)、②利用中のヘルパーの併用を認める、日中地域の施設に通う/病院内に介護職を入れるなどの工夫が、より質の高いショートステイ事業にするために有用である。
- 一般診療科(診療所)については、①地域施設の嘱託などの立場で、医療的ケア支援への理解と側面的援助を行うことが必要である。
③【在宅医療領域】
- 訪問看護は、医療的ケア支援の必要な方の在宅生活の医療部門の要として、①24時間相談応需体制の確立と、②地域福祉領域の訪問介護事業所との連携に積極的に取り組むことと、③療養通所介護など訪問看護自体の多機能化をもって地域生活者の支援を行うことが有効な手段となる。
- 訪問診療を中心的に担う診療所においては、①訪問介護、通所施設、ケアホームなど福祉系の現場で、医療的ケア支援の必要な場合に積極的に支援をすること、②日中一時預かりやショートステイ、あるいは訪問看護など多機能化を図ることで、医療的ケア支援の必要な人の地域生活を支える医療の要になることが期待される。
④【重症心身障害児施設】
- 地域生活者の実数に対して重症児者施設がもつショートステイベッドの数が圧倒的に不足している。ベッド数を増やすための事業課題を明確にし、行政とともに増床する努力が求められる。
- NICUを含め病院に長期入院となっている超重症児の受け入れ枠を増やすための課題を明かにし、ニーズにあった新しい重症児者入所施設をめざす必要がある。
- 重症児者入所施設は、福祉と医療(保険)の二階建て事業で、重介護、療育を保障してきた。地域で生活する重症児者にも同様の福祉と医療の両面からの支援システムが必要である。